南八ヶ岳縦走(造林小屋〜西岳〜編笠山〜権現岳〜キレット小屋〜赤岳〜横岳〜硫黄岳〜根石岳〜天狗岳〜渋温泉)
『赤岳〜横岳〜硫黄岳の山行きレポート』はコチラ
日 数 2泊3日
体力度 ★★★
危険度 ★★★
工 程 1日目=造林小屋〜西岳〜編笠山〜権現岳〜キレット小屋
2日目=キレット小屋〜赤岳〜横岳〜硫黄岳〜根石岳〜天狗岳〜黒百合ヒュッテ
3日目=黒百合ヒュッテ〜渋温泉−茅野駅−造林小屋
歩行時間 1日目=約7時間15分
2日目=約7時間30分
3日目=約2時間
(休憩時間、電車バス等の乗物待時間を除く)
駐車場 造林小屋前(無料)
歩行日 8月13日〜15日
備 考 キレット小屋〜赤岳間の通過には非常に危険を伴います。
面積事項 本サイトで紹介する全ての情報には作者の主観が含まれているものとし、作者登山時による参考データとします。登山計画時や実登山時に本サイトのデータを使用する事は、個人の判断によるものとし、実状と差異が生じた場合でも、本サイト側には一切の責任を持たないものとします。
コース図 & 標高*距離グラフ
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コース図
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標高*距離グラフ(1日目)
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標高*距離グラフ(2日目)
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標高*距離グラフ(2日目)
(地図、グラフはカシミール3Dを利用)
レポート<1日目>
マイカーアプローチ

 今回コースの登山口は、八ヶ岳南西部にある通称「造林小屋」の先にあります。

 造林小屋前の駐車スペースは10〜15台程度あります。造林小屋前にはゲートが2つありますが、閉まっていても、時よりお仕事で山へ入る方が来て、ゲートを一時開けて通っていくので、車両が通れるようゲート前はマイカーで塞がないようにしましょう。

 西岳への登山口は正面奥のゲート(小屋脇のゲートは違う)の先にあります。


造林小屋

造林小屋〜登山口〜西岳=約25分+約2時間40分

 造林小屋のゲートを抜けると、しばらく林道歩きとなりますが、ザックの重荷に体がなれて来た頃にはベンチのある登山口に到着。ここより、樹林の激しい急登となります。

 いきなりの急登に体がついて行けず、最初から音をあげていた作者は、途中に何本か渡る林道に出会う度にザックを降ろして休憩を取っていました。


登山口


ベンチ群

 右手に編笠山の山容が見えるようになると、もうすぐ樹林を抜ける合図。樹林を抜けると、右手の編笠山と青年小屋がハッキリと望める事でしょう。さて、ここからは石ゴロの登り坂となりますが、まもなくして西岳山頂に到着となります。


編笠山


石頃の登り坂


西岳頂上

西岳〜青年小屋〜編笠山〜青年小屋=約50分+約25分+約20分

 西岳頂上は石ゴロの高台という感じ。編笠山の他、晴れていれば南アルプスを一望できるはずですが、本日はガスが出てきてしまい展望は断念。

 西岳頂上をあとにすると登山道は再び樹林に入り、一旦急降下した後、登り返すこと小一時間で青年小屋に到着となります。青年小屋到着の5分位前の位置には「乙女の水」という水場があるので是非ここで水分補給をしよう!


乙女の水

 作者は青年小屋に重〜いザックをデポり、軽荷で編笠山頂上へアタック! 編笠山へ通じる登山道は小屋裏の石山から始まります。大きめの石をピョンピョンと飛びながら登ると、10分位で石場が終わって樹林の登りに転じ、さらに15分で頂上となります。

 編笠山頂上は作者が到着した時はすっかりガスの中で展望は全くナシでした。頂上へ来たことの証明写真だけ撮ってさっさと下山しました。


青年小屋


青年小屋裏の石山


編笠山頂上

青年小屋〜ノロシバ〜権現岳=約25分+約1時間

 青年小屋に帰り、再び重いザックを背負ったら権現岳へ向けて再出発。ノロシバまでの登山道は、樹林の中なのに足下は石ゴロとなっており歩きにくい。ノロシバでは、やはり展望は望めなかった。非常に残念・・・。ガスに包まれた権現岳方面へ再び出発すると、登山道はこのあたりからガレ道となり、周辺の樹木もなくなり一気にアルペンムード満点となります。さらに、痩岩稜やクサリ場も現れ、ちょっとした注意地帯に突入となりますが、ここはちょっと注意して進めば特に怖い思いをしなくても通過できる程度です。


ノロシバ


クサリ場1


クサリ場2

 岩場を抜けると権現小屋が現れます。登山道は小屋左手(進行方向左側)より権現岳へ通じています。小屋を過ぎると「権現頂上へ1分」などと書かれた看板がありますが、作者には1分では無理でした・・・。

 権現岳直下はガスのせいか、少しルートに迷いました。剱が納められている頂上部は西岳・編笠山とは打って違って非常に狭い場所でした。(ガスでよく分からなかったけど)


権現小屋


標識


権現岳頂上

権現岳〜キレット小屋=約30分+約40分

 権現岳からは本格的な岩稜歩きとなります。キレット小屋まで痩せ尾根を伝っていくつもの小ピークを越えますが、この間の難所はなんと言っても「源治郎梯子」です。作者も初めて経験する長さ!この鉄ハシゴは権現岳を再出発していきなり現れます。キレット小屋へ向かう場合、この鉄ハシゴを下る事になりますが、ガスで下の方がサッパリ分かりません。ハシゴを叩いてみましたが下方からの返答は無し。仕方ないので、途中で登ってくる登山者に出くわしたらどうしよう等と心配しながら一歩一歩くだりました。ハシゴは途中で角度が変わり、「く」の字型に折れた格好だったので晴天でも下は見えなかったかも?

 梯子を降りた直後もスペースが無く注意が必要です。クサリに助けられながら、なんとか安全地帯へ移動しました。


源治郎梯子(上部より)

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源治郎梯子(下部より)


梯子を降りた後に注意

 源治郎梯子をクリアすると、あとはガレ場の痩せ尾根歩きです。天気が悪いせいか、とても長く感じました。視界の利かない中、いくつもの小ピークを越えるとキレット小屋を案内するステンレス標識にたどり着きます。このステンレス標識を過ぎると、登山道は久しぶりに樹林に入ります。けっこう下るので途中で心配になりましたが、ステンレス標識から約30分でキレット小屋に到着しました。今日は一日中ガスの中にいた日でした。


ステンレス標識


キレット小屋

キレット小屋にて

 キレット小屋は改装したばかりで、とてもキレイでした。1階は受付、食堂&団らんの場、調理場があり、一部建設中でした。2階は大部屋と個室が5、6部屋ありました。トイレは屋外で、小屋から歩いて1分程度。テント場はトイレの近くにあります。水場は小屋前にあり、飲むには煮沸が必要との事でした。

 本日の宿泊者数は、ナント作者1名!個室に寝ても全然平気でしたが、一応、大部屋の隅に陣取りました。


食堂(1)


食堂(2)


大部屋

 夜は20時に消灯。

 各部屋の壁に、自家発電式のLED懐中電灯(ハンドルをグルグル回すと数分点灯するやつ)がつり下げられており、好きに使ってOKとなっていました。

 作者は、面白半分にコイツを全部集めてきて、布団の周りで一斉点灯!けっこう明るくなったけど、グルグルがめんどくさいのでヘッドライトに切り替えました。


個室

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ガスの森

 
レポート<2日目>
キレット小屋〜赤岳=約2時間20分

 キレット小屋を出発。ハイマツ帯を約20分ほど進むと、いきなり本日最大の悪場が出現。この行程で言うキレットとは恐らくここを指すものと思います。ハイマツ帯の端からつながるガレ場の急坂が、ひたすら続く感じ。横幅は上に向かって徐々に狭くなりますが、それよりも立っているのが怖い位の急勾配と路盤の軟弱さに苦しみました。

 この難所はクサリはほとんど無く、ホールドになる部分も見つけにくく、ちょうど良い石があってもクラック(ヒビ)が入っていて非常にもろい。おまけにルートが発見しづらく、迷うと引き返すのは命がけ・・・。 作者は実際に一度引き返したのですが、マジ怖かったです。

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キレット中部

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キレット上部

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看板付近からキレットを見下ろす。

 こんな感じで参考タイムより大幅に遅れ、約1時間20分もかかってようやく腰を下ろせる安全地帯に到着。この場所には「ガレ場につき注意」と書かれた看板があり、それを境に赤岳側はスッパリ切れ落ちていました。あとで見返したら自分の休んでいた安全地帯?は、端から見るとかなりヤバイ感じの所だった。でも安定感抜群で心身ともに休めた〜。


安全地帯?


鉄ハシゴ

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看板と空中に掛かる鉄ハシゴ

 「ガレ場につき注意」看板を後にすると、アルペンムード満点の岩稜歩きとなりますが、今までの足場のもろい急坂に比べたらなんてことは無い感じでした。まず最初にあるのは下端に地面がない空中ハシゴ。その次は岩峰のトラバース。右手に大天狗・小天狗を望みながら約30分で真教寺尾根との 分岐に到着。そこからさらに30分登ると赤岳頂上となります。頂上直下の阿弥陀岳方面からの合流点では久しぶりに人に会えた・・・。

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岩峰のトラバース


分岐点の標識


分岐点

赤岳〜横岳〜硫黄岳=約1時間30分+約50分

 赤岳頂上はいつものとおり登山者で賑わっていました。朝から心身とも疲労困憊となってしまった作者は、頂上を素通りし、赤岳頂上小屋前のヘリポートにどっかと座って大休憩をとりました。天気もいまいちだし、疲れちゃったし・・・本当はこの後、ザックをデポって阿弥陀岳往復をするつもりだったけど今回はパスすることにしました。


赤岳頂上の社


赤岳頂上の社


赤岳頂上小屋

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赤岳頂上

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ブロッケン現象

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ブロッケン現象

 赤岳〜硫黄岳間は作者にとっては慣れた道。

 赤岳頂上小屋出発と共に、晴れてきたので少し元気が戻ってきました。しばらく歩いてヤッパリ阿弥陀に行けば良かったと後悔・・・。

 この間のレポートはコチラを参照願います。)

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主脈稜線

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地蔵ノ頭のお地蔵さん

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赤岳〜横岳間の核心部へ

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鉄ハシゴとクサリが続出

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高度感満点

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芸術的な岩峰群

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稜線の西側は要注意

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眼下に硫黄岳山荘

硫黄岳〜夏沢峠〜根石岳=約40分+約45分

 硫黄岳を前に、直下の硫黄岳山荘では今後の予定をかなり考えた。行程を換えたツケがまわり、時間が中途半端になってしまう。本当なら、2日目の今日はオーレン小屋あたりに泊まるつもりだったのけど、いまからオーレン小屋に行ったのでは時間が余りすぎるし、かといって麦草まで一気に歩くと、その時間ではバスがない。熟慮に熟慮を重ね、本日は黒百合ヒュッテまで歩くことにした。これがさらに後悔を生む決断となっただが・・・。

 さて、ケルンに導かれ硫黄岳山頂まで登った作者は、いよいよ未知の領域である夏沢峠・根石岳方面へ。

 登山道はガレ道の下り。ケルンに導かれ約20分ほど下ると、前方の樹林の中に夏沢ヒュッテの屋根が見えてきます。夏沢ヒュッテへはさらに約20分下ると到着します。


ガレ場の下り


硫黄岳方面を振り返る

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夏沢ヒュッテ

 夏沢ヒュッテからは久しぶりに樹林の登りとなります。樹林は箕冠山を過ぎるあたりまでですが、箕冠山の頂上付近でオーレン小屋との分岐となるあたりでは、木陰で休憩できますので、ゆっくり休んでいきましょう。(樹林の)外は一番熱い時間。熱中症に要注意です。

 箕冠山を過ぎて樹林を抜けると、再びガレ道となります。坂を下りきった所に根石小屋がありますが、本日は無人(おやすみ?)でした。ですが、トイレと水場は利用できるようでしたので助かりました。真夏でも水温4℃という湧き水を水筒に入れて再出発。根石岳の頂上はもう見えてますよ。(みえているからツライのだけど)


夏沢ヒュッテ


箕冠山へ向かう樹林の道


根石岳

根石岳〜天狗岳〜黒百合ヒュッテ=約40分+約45分

 根石岳頂上から望む天狗岳はとても美しかった。反面、期待していた硫黄岳はガスの中に入ってしまい山頂を望めなかった。根石岳からは徐々に樹木が増え、北八ヶ岳っぽくなってきます。緑と茶色の入り交じる登山道は、伸びやかでとても美しい。今までのゴツゴツした雰囲気と共に両方味わえるのが八ヶ岳縦走の楽しみのひとつですね。


根石岳頂上

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根石岳〜天狗岳間の稜線

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根石岳〜天狗岳間の稜線

 登山道はガレ場のジグザグ下りで再スタートとなり、天狗岳への登りが終盤となると岩場の道へと変化します。緑色の鉄橋を渡ると天狗岳頂上はもう間近です。 夏沢ヒュッテからは久しぶりに樹林の登りとなります。樹林は箕冠山を過ぎるあたりまでですが、箕冠山の頂上付近でオーレン小屋との分岐となるあたりでは、木陰で休憩できますので、ゆっくり休んでいきましょう。(樹林の)外は一番熱い時間。熱中症に要注意です。

 箕冠山を過ぎて樹林を抜けると、再びガレ道となります。坂を下りきった所に根石小屋がありますが、本日は無人(おやすみ?)でした。ですが、トイレと水場は利用できるようでしたので助かりました。真夏でも水温4℃という湧き水を水筒に入れて再出発。根石岳の頂上はもう見えてますよ。(みえているからツライのだけど)

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ジグザグ下り

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天狗岳直下の鉄橋


天狗岳(東峰)頂上

 根石岳頂上から望む天狗岳はとても美しかった。反面、期待していた硫黄岳はガスの中に入ってしまい山頂を望めなかった。根石岳からは徐々に樹木が増え、北八ヶ岳っぽくなってきます。緑と茶色の入り交じる登山道は、伸びやかでとても美しい。今までのゴツゴツした雰囲気と共に両方味わえるのが八ヶ岳縦走の楽しみのひとつですね。


根石岳頂上

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根石岳〜天狗岳間の稜線

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根石岳〜天狗岳間の稜線

 天狗岳からは岩場の下り坂。途中ルートに迷いそうになりますので注意して下りましょう。作者はかなり疲れていたので中山峠の十字路まで約1時間もかかってしまった。十字路を左折すると、黒百合ヒュッテまでは約5分の道のりです。

 長丁場の2日目を終え、小屋でビールを飲みながらやはり阿弥陀岳を往復して本日はオーレン小屋泊まりが良かったと後悔しながら夕刻を迎えました。

 急につまらなくなり、翌日は麦草峠まで向かうのをやめ、このまま渋温泉に下山する事にしました。


黒百合ヒュッテ


薪割り

 ここまで縦走できて楽しかったけど、やはり単独行の縦走は難しいですね。ひとりだと無理もするし、不安にもなる。身勝手にもなり、スケジュールがめちゃくちゃになる。今回はずいぶんと反省点が残る山行でした。

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シラネニンジン

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夕焼け

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天狗岳

 
レポート<3日目>
黒百合ヒュッテ〜渋温泉=約2時間

 黒百合ヒュッテ〜渋温泉間は、これぞ北八という雰囲気のうっそうとした深い樹林を歩きます。岩に生えた苔で転倒しないよう注意しながら気をつけて下山しましょう。


深い樹林の登山道


深い樹林の登山道


渋温泉登山口

 
 

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